虎番記者席

■ 虎のソリアーノや!
 虎のソリアーノになるで! 阪神が獲得を内定した元広島の石橋が、自主トレ中の広島・大野練習場で、同じ二塁手で広島の二軍から世界へ羽ばたいたソリアーノを目指すことを宣言した。戦力外を通告した古巣を見返す気持ちで満ちあふれている。

 まだ燃え尽きていない。今オフ、広島を戦力外となった石橋は11月25日にスカイマークスタジアムのサブ球場で行われた合同トライアウトに参加。48選手の中で攻守にわたり輝きを放ち、阪神の内定を獲得した。

 「広島ではチャンスがなかった。実力がなかったとは思っていない。まだ契約していないので何とも言えませんが、阪神の厚い内野陣に割って入る自信はある」

 連日のハードな練習に充実の汗を流す石橋は言い切った。シュアな打撃と50メートル5秒9の俊足。守備においては「誰にも負けない」とキッパリ。目指すはソリアーノだ。97年まで広島に2年間在籍したが、一軍出場は9試合、ヒットも2本だったが、98年にヤンキースに入団するや、大暴れ。02年には39発、41盗塁を記録。同じ二塁手で一軍出場ゼロの石橋が最もあこがれる存在だ。

 「ソリアーノみたいになれれば最高ですけど。広島が出したことを後悔するくらい活躍したい」

 2年目に右ひざを疲労骨折してから、故障に悩まされた。3年目は左ひざ痛、4年目は春のキャンプで右ひざじん帯損傷。5年目の今季は初めて万全な体調だったが出場機会に恵まれなかった。

 「球団に言われて、入団した時にスイッチに取り組み、やっと左のフォームが固まってきた。身体もよくなり、あと1年が勝負だと思った矢先にクビを切られた」

 起用法の不満から、ストレスがたまる一方の5年間だった。

 「プロに入っていいことはなかったけど、阪神の編成の人から『獲りたい』と言われた時は、初めて報われた気がしました。優勝チームに自分が必要とされたんだから」

 暗黒の時代とは、もうおサラバ。波佐見高時代には行けなかった夢の甲子園で、石橋は虎のソリアーノに変身する。
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