虎番記者席

■ ピンチ!
 開幕スタメンの大ピンチだ。オープン戦で11打数1安打と結果の出ない浜中に、ついに岡田監督がキレた。甲子園での全体練習。二塁ベース付近からフリー打撃をチェックしていたが、最後まで見届けることなくベンチへ。愛弟子への不満を一気にまくしたてた。

 「今年、良かった時期があったか。全然タイミングがとれていない。レギュラーでスタートしたわけじゃない。白紙やないか。(調子の出ない)赤星の名前がずっと言われていて、安心しとったんとちゃうか」

 右肩手術から復帰した昨年は打率.302、本塁打20、打点75。今季はさらなる飛躍が求められていただけに、不満に映る。「阪神はもう期待されているだけで試合に出られるチームじゃないで。あんなに力任せに振っても一緒。今やったら林や赤松の方が上ちゃうか」

 途上のチームじゃない。目的はV奪回。指揮官として試合で結果を出す選手を優先して起用する。「過保護にしたらイカン。あしたは出えへんのとちゃうか」。明日の楽天戦はスタメンをハク奪する。

 ため息は現場だけではなく、フロント総帥からも聞こえた。球団グッズショップの開店セレモニーで甲子園を訪れた宮崎恒彰オーナーは「ムラがあれば一流選手にはなれない。ルックスも良いし、スター性はあるのにねえ」と伸び悩む背番号5を残念がった。

 両トップからWパンチを食らった浜中だが、黙って後輩たちに追い越されるわけにはいかない。室内に移動して正田打撃コーチのマンツーマン指導による居残り特打。「感じはだいぶ良くなってきている」。短い一言だけで岡山へ移動した。

 言葉では反論しない。戦う舞台はグラウンドの中だけだ。岡田監督の辛口評も奮起をうながすため。宮崎オーナーの猛ゲキも将来の4番打者へと望むからこそ。すべては期待の裏返し。オープン戦とはいえ10打席ヒットが出ていないのは事実だが、2度の右肩手術を乗り越えた浜中が、これぐらいの試練をクリアできないはずはない。
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