虎番記者席

■ 怪物やらん!
 “ナニワの怪物”は何所にも渡さん! 来年の高校生ドラフトで“清原超え”の68本塁打を誇る大阪桐蔭・中田を1巡目指名する方針を固めたことが、明らかになった。すでに本社首脳も了承しており、競合必至の中、早くもラブコールだ。

 攻めのドラフトが常勝軍団の鉄則。説明不要のナニワの至宝。高2の秋で清原を超えた怪物中田獲りへ、虎がいち早くエントリー決定だ。

 「地元の選手であれだけの素材。何もしないということはない。獲得に向けて、これからもスカウトをマークさせます」

 不退転の決意を示したのは沼沢球団本部長だ。この日は都内でスカウト会議が行われた。主題は21日の大学・社会人ドラフトの確認作業だったが、早くも1年後の恋人に話が及んだわけだ。

 競合必至でも引くことはできない。広島出身とはいえ野球留学した大阪桐蔭高で花開き、今夏の甲子園では横浜との1回戦で140メートル弾をブチ込んでいる。ナニワ色がにじんだ怪物だけに、争奪戦を避ける“不戦敗”は選択肢にない。球団だけではなく、電鉄本社も獲得を望んでおり、グループを挙げた“参戦表明”だ。

 中田は来年の選抜大会(3月23日から12日間)の出場も確定。そのプロセスの中でPL学園・清原(現オリックス)の64本を抜き去り、現在は68発だが、驚異的なペースは止まらない。順当なら埼玉栄・大島(現西武)の高校記録(86本)更新はもちろん、史上初の“100発高校生”となる可能性もある。

 3日には近畿大会準決勝の市川戦で、和歌山・紀三井寺球場の左翼席場外に160メートルの規格外アーチも刻んだ。「力は分かっている。金属バットなら打つよ。オレは遠くに飛ばすヤツは、生まれたときから遠くに飛ばすと思っている」。伝え聞いた岡田監督も声を弾ませた。長打力は天性のもの。浜中、関本らを育て上げてきた指揮官も、別格として認めている。

 今年の高校生ドラフトでも1巡目で3球団競合の愛工大名電・堂上を果敢に指名した。引き当てたのは中日だったが、No.1から逃げないドラフト戦略は継承される。国内12球団のみならずメジャー数球団も視察に訪れ、すでに日本ハム、楽天が1巡目指名を検討に入った。残る1年で何球団が集まるかは分からないが、果敢に攻める。

 甲子園の右翼から左翼方向に吹く浜風の恩恵を受ける右打者であり、常勝軍団の4番、聖地のスーパースターとなる資格はある。1年という時間を残し、早くも始まった中田フィーバー。その中で、トラが真っ先に名乗りを挙げた。球団の命運を賭けた戦い。負けられない“一戦”となる。
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